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富山家庭裁判所 昭和30年(家イ)129号 審判

申立人 渡辺由利子(仮名)

相手方 安田秀雄こと 渡辺秀雄(仮名)

主文

申立人渡辺由利子と相手方安田秀雄こと渡辺秀雄との昭和二十二年○月○○日届出にかかわる養子縁組は無効である事を確認する。

理由

申立人は主文同旨の調停を求め、その申立の理由として当事者双方は終戦の頃満洲に居住し、後抑留されていたものであるが、当時は夫婦或いはその家族は、独身者よりも早く帰国する事が出来た故相手方は内地への引揚げを急ぐの余り、申立人不知の間に又実際には縁組の意思なくして申立人及申立人の夫渡辺照雄を養親とし、相手方を養子とする縁組届出を為したもので、勿論申立人も当時相手方と養子縁組を為す意思もなかつたものであると云うにある。

昭和三十一年三月二十八日開催した本件調停委員会に於いても、申立人は以上の如き事実の陳述を為したが、相手方は現在宮城県に居住し、当庁への出頭が困難であるため、当裁判所は、仙台家庭裁判所へ相手方に対する審問の嘱託を為した結果、相手方も上記事実に対して争いがない。

よつて当裁判所は必要なる調査を為し、調停委員の意見を聴いて家事審判法第二十四条第一項に則つて主文の如く審判する。

(家事審判官 藤由善嗣)

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